みなさん、こんにちは。
動物看護コース2年生がジアルジア検査を行いました。
ジアルジアとは、人を含む脊椎動物の腸内に感染する内部寄生虫です。
腸内寄生をした後、消化器症状を起こす危険があります。
ジアルジアは、感染動物の糞便より検出することができます。
ジアルジアを検出する方法として、直接塗抹法、遠心浮遊法、沈殿法(MGL法)、間接蛍光抗体法(IFA)などがありますが、いずれも操作が煩雑で検出しにくいといわれています。
また、直接塗抹法の場合はシストの見分け方にある程度の熟練が必要で、少量排出時には見逃しやすい傾向にあります。
検査方法は様々ですが、今回の実習ではジアルジア専用の簡易検査キットを使用しました。
キット内容は、サンプルスワブとデバイスからなります。
はじめにサンプルスワブを使い、糞便検体(下部先端)とコンジュゲート(上部先端液体)を混和させます。サンプルスワブ上部プラグとバルブの境目を折り曲げ、バルブを3回押すことで混和します。
コンジュゲートには、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(HRPO)標識抗ジアルジア抗原モノクローナル抗体(注)が入っていて、糞便検体とコンジュゲートを混和することにより、ジアルジア抗原が糞便検体中に含まれる場合には、抗体がこの抗原と結合します。
つぎに、デバイスのサンプル注入口へ混和したものを5滴滴下します。
滴下した液体がデバイス内の反応膜を通過したら、デバイスのアクティベーターを手のひらで押しつけます。
そして、8分間反応を待ちます。
デバイスには、テトラメチルベンジジン(TMB)という物質が含まれていて、この物質はペルオキシダーゼの基質として働き、この酵素により酸化され、テトラメチルベンジジンジミンという青色に発色する物質へと変化します。
つまり、ジアルジア抗原が存在して、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(HRPO)標識抗ジアルジア抗原モノクローナル抗体と結合すると、このモノクローナル抗体に結合している西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼの作用により、テトラメチルベンジジンが酸化されて、青色に発色するという仕組みです。
この反応膜の色調の変化により、ジアルジア存在の有無を判定します。
サンプルスポットに青い印が出たらジアルジア陽性ですが、今回は青い印がサンプルスポットに出ず(陰性コントロールスポットにも出ませんでした)、陽性コントロールスポットのみに出たので、ジアルジア陰性でした♪
なお、ジアルジアは、糞便から検出されにくい寄生虫といわれています。
寄生虫に合わせて簡易キットを使うなど、検査方法を工夫してみましょう。
注)西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(HRPO)標識抗ジアルジア抗原モノクローナル抗体
一つの抗原には通常、複数のエピトープ(抗原決定基)が存在しますが、モノクローナル抗体とは単一のエピトープに対する抗体のことをいいます。抗ジアルジア抗原モノクローナル抗体とはジアルジア抗原に対するモノクローナル抗体のことで、ジアルジア抗原の単一のエピトープに対する抗体ということです。また、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼは西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ(酵素)のことで、比較的広い基質と反応する性質があります。そして、「ペルオキシダーゼ標識」とは「ペルオキシダーゼ」を抗体と結合させているという意味です。なお、このキットではテトラメチルベンジジン(TMB)が、ペルオキシダーゼの基質となります。ちなみにHRPOは、peroxidase horseradish peroxidase の略です。この長ったらしい名前もいくつかの用語が結合したもので、それを分解して見てみると理解しやすいのではないでしょうか。
つまり、このキットは、ELISA法(Enzyme-linked immunosorbent assay、酵素標識抗体吸着法)を利用したキットです。ELISA法が利用されているものは、このキット以外にもたくさんあります。ちょっと知っておくと便利かもしれないので、少し詳しく書いてみました。
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