みなさん、こんにちは。
今日は1年生の微生物学実習で行った「緑膿菌の検索」の模様をお届けします。
緑膿菌は、健常者にはほとんど感染することはありませんが、日和見感染を引き起こし、強い薬剤抵抗性を持ち、院内感染でも問題となることがある細菌です。
緑膿菌は偏性好気性のグラム陰性桿菌で、莢膜は持たず、極単毛鞭毛を有し、運動性があります。
また、ブドウ糖非発酵菌で、チトクロームオキシダーゼ陽性を示します。
ピオシアニン(緑色色素)とピオベルジン(フルオレセイン、黄緑色色素)などの色素を産生する性質があります。
まずは、キングA培地とキングB培地を用いて、緑膿菌の産生する色素の性状を観察します。
こちらが、緑膿菌培養前のキングA(写真上)とキングB(写真下)の両培地です。
これで緑膿菌を培養すると ・・・
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このように色素の産生が見られます。
キングA培地(写真上)でピオシアニン、キングB培地(写真下)でピオベルジン(フルオレセイン)の産生が確認できました。
ピオシアニンの名前は、膿を示す接頭語 pyo- と、藍緑色を示すcyan に由来します。
ピオシアニンは菌体外に分泌され、緑膿菌が感染した傷口を緑色に着色させますが、これが緑膿菌の発見のきっかけになった包帯の緑変の原因であり、緑膿菌という和名の由来です。
NAC培地で緑膿菌を培養すると、写真培地上方のように、コロニーが緑色になり、培地の臭いは、トリメチルアミン由来の独特の臭気を示します。この臭気は「線香臭」や「金属臭」などと表現されることもあります。
チトクロームオキシダーゼ試験も行いました。
滅菌爪楊枝で培地のコロニーから釣菌して、試験紙に塗抹します。
写真ではわかりづらいかもしれませんが、塗抹部分が深青色を呈しているので、陽性です。
このときの釣菌は、白金線や白金耳に使われている金属の影響により、偽陽性を示す可能性があるため、白金線や白金耳を使いません。
グラム染色を行い、鏡検も行いました。
写真があまりよくありませんが、グラム陰性桿菌であることが確認できます。
緑膿菌の検索を通して、多くのことが学べましたね。
バイオ、動物看護ともに緑膿菌について知っていることは、非常に大切です。
この経験をしっかりと記憶し、技術を身につけておきましょう。