みなさん、こんにちは。
バイオ通信No.1406の続きとなりますが、実験動物の技術指導を体験した応用生物科学科2年生に、次のテーマで文章を書いてもらいました。
「実験動物技術を後輩に伝えることの意義と責任について、自らの経験を踏まえて述べなさい。」
応用生物科学科は2年制ですが、2年間というその短い教育期間でも、突然小論文のテーマが与えられ、60分程度の時間で、「これくらいの文章を書けるようになるんだな。」 と思うと、ふだんはなかなか褒めることのない私ですが、よく書けていると心から思えますし、感慨深いものがあります。
その2年生達に敬意を表し、何回かに渡り、そのひとりひとりの文章を披露していきます。
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「実験動物技術を後輩に伝えることの意義と責任について、自らの経験を踏まえて述べなさい。」
応用生物科学科動物看護コース2年 IR
人に業(わざ)を教えるためには自らがその知識を持っていることが必要不可欠であり、つまりは自分を日々高めていかなければならず、大変な事である。自分が覚える事(input) と人に教える事(output) は大きく異なる。動物を相手にしているので、さらに難しくなる。その難しい事を生徒に行わせるという学校のカリキュラムからは「技術的にも人間的にも成長してほしい」という思いが見てとれる。大役を生徒本人の力で演じさせる方法に私は感動する。正直なところ、昨年の先輩方からは「ナゼ?」「どうして?」 を十分に学べなかった。2年になって「なるほど」と思うことが多数あったように思う。当時はまさか自分が実験動物を下級生に教えることになるとは思っていなかったが、いざそうなってみると自分の知識量が少なく、先輩と同じようになった。技術を伝えるとは、ここまで難しいものかと思った。責任感に押しつぶされそうだった。下級生が、何が理解できないのか、理解できなかった。頭の良い教師のように、解らない人間の「何」が解らないのか理解できず、教え方が乱暴になった。私はそんな教師のようには絶対になりたくなかったが、不思議なものでなりたくないものに人間はなってしまうようだ。下級生の「?」に「?」で返す日々だった。そんな自分が嫌いになりそうで、いらだつ日もあったが、動物はそんな私の手の中で大きく見えた。そんな中で何だかんだやって来たが、下級生は「センパイ!センパイ!」と声をかけてくれたし、何より私は実験動物技術者として楽しかった。もちろん多くを学んだし、多くを教えられた。こうして楽しむ事も、社会において必要な事だと思う。仕事が始まってしまえば毎日が同じように流れ、学生のように長期の休みは無くなってしまう。もっと勉強しなければならない事も増えるだろう。そんな事を、命と引き換えに教えてくれた動物たちと後輩たちに感謝したい。