みなさん、こんにちは。
バイオ通信No.1403 の続きとなりますが、実験動物の技術指導を体験した応用生物科学科2年生に、次のテーマで文章を書いてもらいました。
「実験動物技術を後輩に伝えることの意義と責任について、自らの経験を踏まえて述べなさい。」
応用生物科学科は2年制ですが、2年間というその短い教育期間でも、突然小論文のテーマが与えられ、
60分程度の時間で、「これくらいの文章を書けるようになるんだな。」 と思うと、ふだんはなかなか褒めることのない私ですが、よく書けていると心から思えますし、感慨深いものがあります。
その2年生達に敬意を表し、何回かに渡り、そのひとりひとりの文章を披露していきます。
↓↓クリックお願いします
「実験動物技術を後輩に伝えることの意義と責任について、自らの経験を踏まえて述べなさい。」
応用生物科学科バイオコース2年 FY
実験動物技術を指導するにあたり、私なりに考えたことは、指導力を磨くことでした。確かに先輩や講師の先生方から教えて頂いた知識や技術はたくさんあります。けれども頭で理解し、その技術ができると自分自身で思っていても、ほとんどが初心者である1年生に教えていくことは、正直とても大変でした。例えばマウスやラットの保定では、人それぞれ手の大きさや関節の柔らかさなどの違いもあるので、実演してみてもなかなかうまくコツをつかんでもらえず、皮膚がたるんで保定がゆるんでしまったり、首が動いてしまったりということもありましたし、シリンジの使い方ではどんなときにどんな方法でどの程度エア抜きするのかを理解してもらうのは、とても大変でした。しかし、1年生の皆が徐々に技術を身につけ、磨いていき、最初はできなかった実習の手技が出来るように、あるいはスムーズに行えるようになった時はとても嬉しかったです。このように指導をすることで、その難しさやそれと同時に理解してもらえた時の嬉しさなどが経験と自信になっていき、指導力を磨いていけることにもつながるのではないかと思いました。しかしながら、それと同時に、指導することの責任もあるのだということを痛感しました。例えば注射針や動物器材の扱いを正しく理解してもらわなければ、自分にも大きなケガを負わせる事故につながってしまう可能性もありますし、シリンジの扱いや投与操作がしっかりと理解できていないと動物にも無用な苦痛を与えてしまうことにもなりかねません。また、動物の処置馴化の技術レベルが不十分であると、同様のことが言えます。つまり、1年生の皆にも、そして動物のためにも、安全に実習してもらうためには、しっかりと私達が指導していかなければならないのだという責任の重さを感じました。