湘央医学技術専門学校・湘央生命科学技術専門学校

応用生物科学科&愛玩動物看護学科BLOG

  • Entry Date
  • 2012.10.2

バイオ通信No.1056 「モノクローナル抗体の作製・ハイブリドーマ」

2年生の免疫化学実習ではモノクローナル抗体を作製しています。AhrOct2012.gif

前回、抗体産生細胞(脾細胞)とミエローマ細胞をPEGを用いて細胞融合しました。

1週間後、観察してみると。。。

なにやらぶつぶつしたものがー増えています(^o^)

121001-1.jpg

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これがハイブリドーマ(融合細胞)です。
121001-2.jpg

このハイブリドーマの培養上清に抗体があれば大当たり!!
でも、今のところはハイブリドーマがあるってことだけでばんばんざい!!
96ウエルすべてにこのようなハイブリドーマができるわけではありません。

大部分は。。。死んでいる細胞のほうが多いのです。
121001-3.jpg

これは、HAT選択によって融合細胞を選別しているからです。。

脾細胞とミエローマ細胞を細胞融合すると、
1)脾細胞とミエローマ細胞、
2)脾細胞と脾細胞、
3)ミエローマ細胞とミエローマ細胞の三種類の融合がおきます。
あとは融合しない細胞もあります。

必要なのは脾細胞とミエローマ細胞の融合細胞だけなのでいらない細胞をどうにかしないといけません!
2)の脾細胞+脾細胞は正常細胞なのでそのうち寿命で死滅します。

やっかいなのは永久増殖能をもつ3)のミエローマ細胞同士の融合細胞です。
そこで、ミエローマ細胞は8-アザグアニン抵抗性のHGPRTを欠損した株を使用します。
この、HGPRTを欠損ミエローマ細胞は、ヒポキサンチン(H)、アミノプテリン(A)、チミジン(T)が添加されたHAT培地で培養すると核酸合成ができないので死滅してしまいます。

なぜなら、HAT培地中のアミノプテリンは核酸合成経路の一つであるde novo合成を阻害するので、サルベージ合成回路がないと核酸を合成できないからです。。
必要としている1)の脾細胞+ミエローマ細胞は、脾細胞のもつサルベージ合成回路を使って核酸を合成できるのでHAT培地中で増殖することが可能になります。

地味だけどスゴイことが96ウエルプレート中で起こっているのでした<(_ _)>

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